現在米国在住のパレスチナ人詩人、教師で「性・ジェンダー多様性のためのムスリム同盟」運営責任者であるヤッファが2023年に発表した詩集『ブラッドオレンジ』より、詩集の表題にもなっている詩「ブラッドオレンジ」を翻訳したものです。
詩集『ブラッドオレンジ』を含むヤッファの活動や作品はこちらからご覧ください。
パレスチナの果樹にまつわる物語を気候正義の文脈から論じた「気候正義とパレスチナ ①果樹にまつわる物語」でもヤッファの紹介がされています。
ブラッドオレンジ
私はある
民族の一員
千度も死んだ
こともある
なぜなら白人が
征服に来たから
私たちの血が
木々や峡谷を染め上げた
海さえも変えた
ブラッドオレンジに
まるでもとの形を忘れた
日食のような
世界が終わり
再び始まる
幾度となく
私たちは
最後の試練になり
人類は
繰り返し
失敗する
天使たちは
ロトの海に身を浸し
沈思する
なぜお前たちは
許され
続けている
幾度となく
終わりが来ては
命が始まる
それでも私たちは
それでも私たちはこれからも
お前たちの
羨望と憎悪
お前たちの恐怖
お前たちが
お前たちの手で作り出した
夜なのだから
サムネイル画像:THOR, https://commons.wikimedia.org/wiki/File:BloodOrange_(4314682234).jpg, via Wikimedia Commons.
出典:Yaffa. Blood Orange (Rakuten Kobo Ebook version). Meraj Publishing (2023).
©︎ Meraj Publishing, reprinted with permission.
翻訳:中鉢夏輝